多文化な子どもの学び~母語を育む活動から~
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<<母語としての日本手話>>

■日本手話と日本語対応手話

ろう者にとっての母語は、日本手話です。それは、日本語に対応した日本語対応手話とは異なるもので、ろう者が自然に身につけている「動作―視覚」というモダリティにもっともよく適合した言語です。しかし、ろう学校では、さまざまな科目をこの日本手話で学べないのです。ろう学校では、音声日本語に対応した日本語対応手話の習得を第一の目標としており、ろう者は、日本語を経由して日本語対応手話を理解しなければなりません。

 そこで、ろう者は、ろう者にとって母語である日本手話を意識してきちんと獲得し、ろう者としてのアイデンティティを確立することが大切になってきています。つまり、ろう教育では、第一言語として日本手話、第二言語として書記日本語が習得できるバイリンガル教育が望まれています。(中途失聴者の場合は、母語である日本語と第二言語である日本語対応手話を学ぶことになります。)

コラム ---母語  mother tongue---

母語は、英語でmother tongueといい、直訳すると「母の舌」という意味になります。これは、音声言語は舌で話すものだからこのように命名されたのでしょう。手話話者にとっては、音声言語が世の中で優位になっていることを読み取るかもしれません。また、父親がみたらどうでしょうか?親語とするという提言はあっても父語とするという提案はありません。母語という単語一つでも見方が変われば、読み取る意味も違ってくるのですね。

コラム---機能障害ではなく言語障害---

ろう者が使用する言語すなわち手話の調音器官は、喉ではなく手です。それを立証するように交通事故で手と肩に障害が残ったろう者に「機能障害」ではなく「言語障害」であると認定する判決がでたことがあります(2009年11月名古屋地裁の裁判で。岡・赤堀、2011, P.16)。ろう者の手話は言語であり、健聴者が外国など言葉が通じない場面で行う身ぶり手ぶりのジェスチャーとは全く次元の異なるものなのです。

■世界共通ではない手話

手話ではなく日本手話と呼ぶように手話は言語であり地域に根差したものなので、世界共通ではありません。したがって、例えば、渡米するならアメリカ手話を学ぶ必要があります。

手話の音韻は、「手の形」「位置」「動き」で表されます。

動画1は、「食べる」をあらわした日本手話です。箸で食事をしている動作ですね。「食べる」という一般動詞なのにすでに「箸で」という手段が含まれています。

動画2は、「(なんでも)食べる」動画3も「食べる」の動作です。

それでは、外国の手話を話す人に日本手話で「食べに行く?」などと聞いたらどうなるのでしょう。その時は、「箸を使って食べる」と解釈されます。
ちなみにヨーロッパ諸国で生まれた国際手話では、「食べる」は、手で食物を口に運ぶ動作で表されます。食物を口に運ぶというとても基本的な動作です。

したがって箸で食べる、スプーン、ナイフ、フォークで食べるという動作は、国ごとに違う食べる手段や作法を反映したそれぞれの国の手話の語彙ということになります。

 このように日本手話という言語には、日本語と同様に日本文化が反映されていることが分かります。 (出典:木村, 2011 )

■日本手話が橋渡しに

ろう学校では、ろう者にとって一番身近である日本手話で教科を学べることが望ましいのですが、音声言語が優位な社会では、日本語対応手話が主流でした。日本手話ができる教員が不足しているという現状もありますが、日本手話がろう者のアイデンティティ確立や、高次思考を促進するうえでも重要であるという認識がまだ浸透していないという問題もあります。

 母語教育を考えるときにこのような日本手話も含めて考えていくことが大切です。多文化な子どもたちにとっての母語と同様に、日本手話は、学校で教科学習を促進するうえでも重要であり、本人のアイデンティティを確立するうえでも、ろう者仲間とのコミュニケーションをとるうえでも重要な言語なのです。ろう者の家庭では、両親が健聴者であることの方が多く、日本手話ではなすろう者は、家族以外のろう者仲間とコミュニケーションをとる機会を持つことが重要なのです。

■参考文献

岡典栄・赤堀仁美著 (2011) 『日本手話のしくみ』NPO法人バイリンガル・バイカルチュラルろう教育センター  大修館書店  
木村晴美(2011)『日本手話と日本語対応手話 手指日本語 間にある深い谷』

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